身近な繊維といえば「綿」
アオイ科の綿花を原料とする「綿(コットン)」は、下着・肌着、寝具類から高級衣料品まで幅広く愛用されており、私達の生活に欠かせない身近な繊維の代表です。現在も、日本における国内繊維消費量の約40%を占めています。
綿の歴史
原産は古代インドといわれており(メキシコ、ペルーなどの南米説もあり)、ここから綿花の栽培や製法がアラビア商人によって西方へ伝えられ、イタリア・スペインを経由してヨーロッパの東西に広がりました。
イギリスでは、インドから輸入した綿織物が産業革命を引き起こしたことでも有名です。その後、綿花は世界各地で栽培されるようになり、主要生産国は中国、アメリカ、インド、パキスタン、旧ソ連となっています。
日本では戦国末期に綿織物が輸入され、一部の武士階級で使用されました。
その後、国内で綿花の栽培が進み、17世紀後半(元禄時代)には、それまで使用されていた麻にとって代わり、一般庶民にも普及しました。
20世紀に入ってから綿工業が急速に発達。大正から昭和初期、第二次世界大戦後の国内産業の近代化に大きな役割を果たし、一時は世界一の綿布輸出国としての地位を保ちましたが、明治以降は海外の綿花に依存するようになりました。各種の原綿を混ぜて綿糸を製造してきたことから、現在日本では混綿や混紡の技術が発達しています。
【コットン・ボール外観】
開花後に種子を含んだ子房が膨らみ、乾燥すると繊維を含んだコットン・ボールが表面に顔を出します。
コットンボールから、綿繊維の原料となる長い綿毛の原綿「リント」と、種子のまわりに付着している短い綿毛「リンタ」に分類されます。短い綿毛のリンタは再生繊維「キュプラ」の原料として利用されます。
綿の特性
・強くて丈夫であり、濡れると強度が増す。
・染色性、発色性が良い。
・水分を吸収・発散させるため、さらっとした肌触りで涼しい。
…綿繊維は、「麻」と同じく、繊維の断面はマカロニを押しつぶしたような中空糸構造をもっているためです。
・耐熱性があり高温でのアイロン掛けが可能。
・アルカリに強く、石けんや洗剤等に耐えうる。
綿の欠点
・シワになりやすい。
・洗うと収縮して型崩れを起こしやすい。
・酸やカビに弱い。
・着用や洗濯による摩擦により毛羽立ちやすく白化しやすい。
綿の種類
綿花は世界のおよそ90カ国で栽培されていますが、その産地、品種、栽培方法などによって、天然のよじれの数や繊維長が大きく異なります。
原綿は細くて長く天然の撚りの多いものほど高級とされます。
繊維長 | 長繊維綿(約28㎜以上) |
---|---|
種類 | バルバデンセ(学名) |
産地/名称 | ・西インド諸島綿/海島綿(シーアイランド綿) ・エジプト綿/ギザ45、ギザ70 ・スーダン綿/VS、バラカット ・インド綿/DC32、スピン ・中国綿/新疆長繊維綿、西域綿 ・ペルー綿/ピマ ・旧ソ連綿/旧ソ連長繊維綿 ・アメリカ綿/スーピマ綿 など |
稀少品のため、高級衣料素材に用いられる。シルクのような肌触りが特徴。 |
繊維長 | 中繊維綿(約21~28㎜位) |
---|---|
種類 | アップランド綿 |
産地/名称 | ・アメリカ綿(スーピマ綿を除く) ・ブラジル綿 ・中国綿(新疆長繊維綿、西域綿を除く) ・その他の地域(パキスタン、ニカラグア、ウズベキスタン) など |
世界の生産量の90%を占め、一般衣料、肌着、シーツ用などに 用いられる。 |
繊維長 | 短繊維綿(約21㎜以下) |
---|---|
種類 | デシ綿 |
産地/名称 | ・インド綿/ベンゴールデシ、オムラ ・パキスタン綿/デシ など |
ネルや帆布(キャンバス)、布団わた、脱脂綿など産業資 材用として用いられる。 |
シルクのような肌触りの“希少綿”―
“ケアメンテ®”なら安心して長く楽しめます
綿(コットン)」素材と聞くと、安価で親しみやすいイメージがありますが、ごく限られた地域でしか産出されない希少綿は非常に高級とされ、価格も高級動物繊維と引けを取りません。
・カリブ海の西インド諸島で算出される海島綿(かいとうめん)は、繊維が長く柔らかく光沢に富み、細番手糸を作るのに適した最高級の綿といわれています。
・ナイル河流域で算出されるエジプト綿も、海島綿に次ぐ高級綿です。繊維は細く長く、強度もあるため、高く評価されています。
このような希少価値が高い綿衣料を、一般の綿衣料と同等のケア(水洗い)で大丈夫と思われていたらそれは大きな間違いです。シルクのような独特の肌触りが損なわれ、価値を損なうことになりかねません。上質なモノを長く楽しむには、上質なメンテナンスが必要です。ハッピーの“ケアメンテ®”は“価値の再生産”として威力を発揮。希少綿が持つ上質な肌触りを蘇らせます。
高級・上質シャツを“ケアメンテ”